これは今のところ
him&anyのYouTubeで
最も新しいアップロード曲である
『122 くちばしの天使』にまつわる
エピソードです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あのまるいチョコレートのふたをあけても」
「くちばしの天使はほほえんでくれないから」
という歌詞があります。
「くちばしの天使」は簡単には姿を見せてくれません。
大人になったからといって
3コ、5コとまとめ買いしてみても
微笑んではくれません。
そんな毎日を過ごしていたある日
ふと気がつきました。
自分のための努力をしていても
くちばしの天使には届かないのだ、と。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
それは、これ以上なく頑張った日、
へとへとになって、たどり着いたコンビニエンスストアで
何の気もなく、手に取った「あのまるいチョコレート」
フタをあけたら、くちばしの天使が微笑んでいました。
シルバーのオーラをまとった天使でした。
その日、頑張ったのは、自分のためじゃなく
自分を信頼して任せてくれた人のため。
売上も利益も忘れて心を使い果たした日。
くちばしの天使は、ふとあらわれて、微笑んでくれました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そしてまた別の日。
そうならないように事前にできることを
すべてやって、やりつくして、挑んだはずだったのに
クレームもあり、アクシデントもあり、
疲労にくたびれた心と足をひきずって。
クレームの対処を終えて。
それでも、まだ消えないクレームもあって。
日の暮れた暗い国道沿い。
ヘッドライトがやけに眩しくて。
高架の上を走る電車は帰宅する人で満員で。
夜空の中を走る暖かい光のマフラーに見えた、
冬の夜。
もう。これでおしまいでもいいか。
と思った夜。
手に取った「まるいチョコレート」には
「くちばしの天使」がいました。
ゴールドの光をまとった「くちばしの天使」がいました。
微笑んでくれました。
その瞬間、体から力が抜けました。
たぶん、これで、間違ってはいなかったんだと。
今日の疲労は、今日の努力は、
たぶん、だれかのためになっていたんだよ、って
教えてくれた気がしました。
くちばしの天使のマネをして、口元だけで少し微笑んで、
疲労した瞼から涙がこぼれ落ちました。
その日から、思うのです。
「くちばしの天使は、全力のその先で、微笑んでいるから」と。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あの日から、たくさんのくちばしを開きましたが、
天使はどこか遠くの空を飛びまわっているようです。
きっと、今は、努力が足りないんだろうな。
2017.3.14 him&any
©2017 him&any
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